TSI BRAND INTERVIEW 「JILLSTUART」
  • ジル スチュアート
  • 2018.12.27
Fashion Capital

注目のブランドに迫るこのコーナー。今月の"it"ブランドは、㈱サンエー・インターナショナルの「ジルスチュアート」です。新たなブランド提案に向けて取り組んだ2018年の施策についてインタビューしました。

― ブランドが担う役割をより明確にしていく ―

| ブランドに求められる商材を強化
 2017年の春から、MD手法の精緻化を図ってきました。お客様のライフスタイルを細分化し、ペルソナ層を「ガーリー」「フェミニンブリッジ」「フェミニンスタンダード」「フェミニンモード」の4つの属性に分け、日々店頭の売上を検証しています。その中で「フェミニンスタンダード」は、ブランドが成長していく上で伸ばしていかなければならない層であることが導き出され、2018年の重点テーマとして商材の強化・提案を行なってきました。SSシーズン、FWシーズン共に立ち上がった前半は好調に推移しましたが、実売期である中盤はいずれも苦戦しましたね。「ジルスチュアート(以下、JS)」の販路は百貨店が中心です。館自体の来客数減に加え、JSは購買年齢層が低いゾーンに位置しており、フリー客の獲得には厳しい環境です。売上を高めていく上でも課題です。常に鮮度があり、タンス在庫にないものを求めるお客様のニーズに応えられるよう、今後はよりブランド性の高いもの、ブランドに求められる要素をより深掘りしていく必要があると思っています。

| オケージョンラインを新たに提案
 お客様の購買ルートにも大きな変化が見られ、ファッションビル(以下、FB)を中心に移行しています。若い客層が多いイメージから、ここ数年は30代から50代までの利用もあり、より良いものや上質化を求めるマインド動向など、FBにおける大人化傾向が進んでいます。その中でJSとして担える役割を精査し、新たなオケージョンライン「エンディローブ」を今秋スタートしました。ワンタイム・ワンオケージョンではなく、食事会、オフィスにも対応できるなど、1着で数々のシーンが見えるコストパフォーマンスの高い洋服は、お客様も関心を持っていると思います。女性の就業率も上昇し、オフィシャルな場も増えています。これまで担えてなかったシーンに寄り添い、かつ大人の女性から共感頂けるよう、ワンピースをコアアイテムに展開していきます。来春、ポップアップショップなどJSの新たな販路として、積極的に拡大していきたいと思います。

| 憧れのある"大人かわいい"
 これまでは雑誌が軸でしたが、このFWシーズンは新たな取り組みとして、モデルの蛯原友里さんを起用したWEBマガジンを公開しました。JSが蛯原さんと紡ぐファッションストーリーで、ECサイトだけの特別コンテンツです。大人の「フェミニンスタンダード」を体現するべく、プレスやWEB担当者から声が上がったことが起用のきっかけでした。磨きがかかった今だからこそ新鮮に見える着こなしで、30代女性のライフスタイルを等身大で表現することができ、結果とても反響がありました。離反客や久々に来店されるお客様、このコンテンツを見て来店される方も多々いらっしゃいましたね。店頭への問い合わせも非常に多かったです。同世代としての安心感が、彼女の人柄や語りを通してリアルに伝わったのだと思います。単純に商品を載せた訴求ではなく、どういう背景があるかということが重要です。来期のプロモーションにおいても、自社ECの拡充ポイントに置き、SNSと連動した発信で強化していきたいです。

| ブランド力をより高めていく
 今後に向けては、MDの精度をさらに高め、よりブランド性を引き出していきます。そして、引き続き「ブランドが担う役割」を明確にし、ロイヤルカスタマーに値する多くのファンを確立していくことです。その中で大切なことは、蛯原さんのWEBマガジンに代表されるような、ブランドとしてしっかりとしたメッセージ性のあるコンテンツ作り、ペルソナ層をより深掘りした商材開発を行なっていきたいと思います。2つめは自社EC化率を高め、フリーやライトユーザーの売上拡大を図っていきます。JSはウェブ専売品も展開しているので、それを強みに鮮度のある提案を行なっていきます。3つめはフリー客に向け、「エンディローブ」をJSの次なる一手として、新たな販路であるFBを軸に強化していきます。
 JSは20年を超える歴史あるブランドです。その時代に合った、その時代が求める新たな魅力が提案できるよう、チーム一丸となって成長を目指していきたいです。

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